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脱サラ系FXトレーダーの”はぶ”です。
エリオット波動理論は、相場の波動を明確に示した理論です。
特に最も推進する上昇第3波は、トレンドフォローを狙う場合に必ず押さえておきたい波動です。
そこでエリオット波動理論の概要とトレード戦略について、実例を併せてご紹介します。
FXで勝ち続けるために必ず役立つ知識です。
是非読んでみてくださいね!
エリオット波動理論概要

エリオット波動理論とは
エリオット波動理論とは、19世紀米国の会計士「ラルフ・ネルソン・エリオット」が研究発表した、市場価格の推移からなる「波動の原理」を示した理論で、次のように述べられています。
- 相場は長期的な周期でトレンドを作り、現在の市場価格はその中の段階にある
- 投資家心理を反映した周期的な法則により、市場価格の推移は「5つの推進波」と「3つの修正波」が1つの周期として形成される
- 波動はフラクタル構造となっており、全ての波動はより長い波動の一部であり、より短い波動に細分される
エリオット波動を構成する各波動の数学的根拠には「フィボナッチ」があるとされており、各波動の長さはフィボナッチにより予測を行うことができます。
フィボナッチの概要については下の記事で詳しくご紹介していますので、是非ご覧ください。
フィボナッチ・リトレースメントは、相場の重要なサポート/レジスタンスを表す重要なインジケーターです。黄金比を始めとするフィボナッチ比率が注目されるのは、相場の性質が自然の摂理に深く結びついているからです。そこでフィボナッチの概要から使い方まで、実例と併せて分かりやすくご紹介します。
エリオット波動理論によるトレンドの周期

エリオット波動理論では、非常に長期的な周期のトレンドについて述べられており、現在の相場はその中の段階にあるとしています。
エリオットが研究した膨大な市場データの中には、1000年以上も遡ったローマ帝国の滅亡から産業革命までもを視野に入れた「ミレニアムサイクル」があり、その相場周期の中には、100年単位の「グランドスーパーサイクル」、数10年単位の「スーパーサイクル」と続いていきます。
エリオット波動理論が脚光を浴びた一つの理由として、この周期理論により1929年の「世界恐慌」を始めとした世界的な相場の転換期を的中させたことが挙げられます。
エリオット波動理論では、波動周期の規模により次のような名称があります。
- ミレニアムサイクル…1000年~
- グランドスーパーサイクル…100年~
- スーパーサイクル、サイクル…数10年~10年
- プライマリー…数年~
- インターミディエット…数10週~
- マイナー…10週~
- ミニュット…数日~
- ミニュエット、サブミニュエット…数時間~数分間
エリオット波動理論の推進波と修正波

エリオット波動理論では、市場価格の推移は「5つの推進波」と「3つの修正波」が1つの周期として形成されるとしています。
この各波動の特徴について次のようにまとめてみました。
※ダウントレンドでは逆になります。
各波動の特徴まとめ
波動名 | 特徴 | フィボナッチとの関係 |
---|---|---|
上昇第1波 | 推進波 | なし |
上昇第2波 | 調整波 原則:第1波の底値を割らない。 | 上昇第1波の長さの「38.2%」「50%」「61.8%」 |
上昇第3波 | 推進波 原則:上昇波動の中で一番短くならない。 | 上昇第1波の長さの「161.8%」「261.8%」 |
上昇第4波 | 調整波 原則:第1波の高値を割り込まない。 | 上昇第1波の長さの「38.2%」「50%」 |
上昇第5波 | 推進波 | 上昇第1波の長さの「38.2%」「50%」「61.8%」 |
下降第1波 | 修正波 | 上昇第1波の長さの「38.2%」「50%」「61.8%」 |
下降第2波 | 調整波 | 下降第1波の長さの「38.2%」「50%」「61.8%」 |
下降第3波 | 修正波 | 下降第1波の長さの「161.8%」「61.8%」「50% 」 |
続いて各波動について、詳しくご紹介します。
上昇第1波

上げ始めの最初の推進波です。
長期間のダウントレンドの底値圏で発生します。
ダウ理論で示されている先行期と重なり、少数の投資家が底値買いを行う時期となります。
メディアでは弱気な報道がされていますが、オシレーターなどのテクニカル分析において反発を示す場合には非常に強く現れていることがあり、これまでの流れとは異なった価格の推移が見られます。
上昇第2波

第1波を打ち消す強い調整波です。
底値買いを行った先行投資家の利益確定により生じます。
第1波に対して「100%」戻すこともありますが、多くは「38.2%」「61.8%」程度の戻しをつくったところで、追随する投資家の増加に伴い出来高が増していきます。
原則として上昇第1波の底値を割ることはありせん。
上昇第3波

最も強く長い上昇を伴う推進波です。
エリオット波動理論の中で最も重要視される波動です。
ダウ理論で示されている追随期と重なり、多数の投資家が追随買いを行う時期となります。
追随する投資家の急増と、これまでのダウントレンドに対してのショートポジションを解消する時期となり、それが更なる推進材料となって市場価格は急伸します。
第3波は原則として推進波の中で最短になることはなく、第1波の「1.618倍」の長さになることが多いと言われています。
上昇第4波

乱高下やレンジのように複雑な値動きをする調整波です。
市場心理は楽観的ですが、複雑な値動きをするため投資判断が難しい局面でもあります。
原則として第1波の高値を割り込むことはありせん。
上昇第5波

強さと勢いを持ったクライマックスの急騰です。
市場価格は上昇傾向にあるものの、これまでは異なり出来高が多くない状況で推移しています。
トレンドの終盤では出来高の急激な上昇により急騰することがあります。
これを「バイイング・クライマックス」(セリング・クライマックス)と呼びます。
下降第1波

トレンドの転換シグナルが現れる強い下降波です。
多数の投資家はトレンドはまだ継続しているとみなし、鋭角的な市場価格の上昇を期待しますが、一方で少数の投資家はトレンドの転換期にあるということを確信し売りに転じます。
上昇第1波の特性とよく似ている下降波です。
下降第2波

乱高下やレンジのように複雑な値動きをする調整波です。
随所で上昇が伴いますが、下降第1波の途中で決済を逃した投資家の利益確定が行われるため、上値の重い展開となることが多いです。
上昇第4波と同じように複雑な値動きをするため投資判断が難しい局面だと言えます。
下降第3波

最も強く長い下降を伴う修正波です。
市場ではトレンドが切り替わったことが認識され、新たに売り始める投資家や、これまでのアップトレンドに対してのロングポジションを解消する動きが重なり強い下降波となります。
市場心理は悲観的になっていきますが、少数の投資家が少しずつ買い集めを行います。
下降第3波は、下降第1波の「1.618倍」の長さとなることが多いと言われています。
エリオット波動理論の基本3原則
エリオット波動理論には次の原則があります。
- 上昇第3波が上昇波動の中で一番短くならない
- 上昇第2波の安値が上昇第1波の底値を割らない
- 上昇第4波の安値が上昇第1波の高値を割り込まない
この原則から外れた波動、例えば「上昇第4波の安値が第1波の高値を割り込んだ場合」などでは、その波動は未だ上昇第3波に含まれた波動であるという見方ができます。
エリオット波動とフラクタル構造

エリオット波動理論で構成される波動は「フラクタル構造」となっており、全ての波動はより長い波動の一部であり、より短い波動に細分されています。
上のチャートのように、エリオット波動の中には細分されたエリオット波動が存在します。
またこの全体が示すエリオット波動も、より長期時間軸で見れば上昇第1波の可能性があります。
相場の長期的な周期を踏まえて分析しトレード戦略を立ていくことは「マルチタイムフレーム分析」とも大きく繋がりがあるためトレードにおいては非常に重要な考え方となります。
「マルチタイムフレーム分析」については、下の記事で詳しくご紹介していますので、是非ご覧ください。
FXでは大局的な視点で相場を分析できようになることが勝つための一番の近道です。それは相場が長期的なトレンドの方向を目指す性質を持っているからです。マルチタイムフレーム分析は、一見すると難しい分析方法と思われがちですが、その概念を理解することで簡単に実際のトレードに落とし込むことができます。そこで「マルチタイムフレーム分析」の概念と方法を体系的に分かりやすく、実例も併せてご紹介したいと思います。
エリオット波動理論とフィボナッチ比率

エリオットは膨大な研究データの中から、トレンドには市場心理が非常によくに表れていることを発見し、そこには自然現象に数多く存在するフィボナッチの法則が現れていることを述べています。
「フィボナッチ」の概要については、下の記事で詳しくご紹介していますので、是非ご覧ください。
フィボナッチ・リトレースメントは、相場の重要なサポート/レジスタンスを表す重要なインジケーターです。黄金比を始めとするフィボナッチ比率が注目されるのは、相場の性質が自然の摂理に深く結びついているからです。そこでフィボナッチの概要から使い方まで、実例と併せて分かりやすくご紹介します。
エリオット波動理論を応用したトレード戦略とは

エリオット波動理論を実際のトレードに応用させると、上昇第3波を逃さないことが最も重要なトレード戦略と考えることができます。
特に相場がフラクタル構造であるという特徴を応用し、長期トレンドの上昇第3波の中の短期上昇第3波をエントリータイミングとすれば、低リスクでトレンドの最も強い波動をフォローしていくことも可能だと言えます。
エリオット波動理論を応用したトレード例①

こちらはとある通貨ペア①週足チャートになります。
トレード戦略を立てるにしては大きすぎるトレンドの周期ですが、大枠で狙っているのが中央の上昇第3波になるということを抑えておくことが重要です。
より短期時間軸の日足チャートで分析していきます。

こちらは日足チャートです。
日足ではダブルボトムを作っているため、トレンドが切り替わったことが想定できる場面です。
このトレンドが本物だとすると、次に続く波動は最も推進する上昇第3波ということになります。
その中にある上昇第3波を、より短期時間軸で分析しトレンドフォローのタイミングを見つけます。

こちらは1時間足チャートです。
ダブルボトムが作られています。
エントリータイミングは①②③がセオリーです。
- ①ダブルボトムを想定したロング
- ②ネックラインをブレイクしたタイミングのロング(ブレイクアウト)
- ③ネックラインがサポートラインに切り替わったタイミングのロング(ロールリバーサル)

利益確定に関しては「上昇第3波の中の上昇第3波」という最も強いトレンド環境を考慮して、利益を伸ばしてみることも一つの手です。
第1波の1.618%の値幅まで狙うことも十分に可能です。
エリオット波動理論を応用したトレード例②

こちらはとある通貨ペア②の日足チャートです。
アップトレンドが反転し、大きく下降した場面です。
エリオット波動理論に基づき
- aが下降第1波
- bを下降第2波
- cを下降第3波
と分析すると
下降第3波cの長さは下降第1波aの「1.618%」となることが多いため、サポートラインとして機能することが推測できます。
そのため四角で囲ったポイントで反発のロングを狙います。

こちらは30分足チャートです。
ヘッドアンドショルダーズボトムを作っています。
エントリータイミングは、①②③がセオリーです。
- ①ヘッドアンドショルダーズと想定したショルダーラインでのロング
- ②ネックラインをブレイクしたタイミングのロング(ブレイクアウト)
- ③ネックラインがサポートラインに切り替わったタイミングのロング(ロールリバーサル)

最終的にサポートラインを下抜けてしまいましたが、市場心理も合わさってか一時的に強い上昇となりました。
底値の上昇第1波から1.618%までは推進しています。
まとめ
今回ご紹介した「エリオット波動理論」の内容は、FXで勝つためには絶対に押さえておきたい重要な相場の基礎理論です。
相場で勝ち続けるために、覚えておきましょう!
最後に簡単にまとめてみましたので、参考にしてみてください。
- 相場は長期的な周期でアップトレンドとダウントレンドを作り、現在の市場価格はその中の段階にある。
- 投資家心理を反映した周期的な法則により、市場価格の推移は「5つの推進波」と「3つの修正波」が1つの周期として形成される。
- 波動はフラクタル構造となっており、全ての波動はより長い波動の一部であり、より短い波動に細分される。
次の記事では「波動論・値幅論」について詳しくご紹介していますので、下のリンクから是非ご覧ください。
相場の波動がどのように作られ、どこまで推進する可能性があるのかを知ることは、エントリーとエグジットの明確な根拠となります。そこで、今回は一目均衡表の理論の一つ「波動論・値幅論」から、相場の波動6種類と推進値幅の計算値を分かりやすくご紹介します。
それではまたお会いしましょう!
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